ブログ京都四条烏丸店

水羊羹

 

京都の夏の暑さは特別です。
四方を山に囲まれた京都盆地と言われる地形によるもので、蒸し風呂のような過酷な暑さの中で、独自の文化が生まれました。
夏の京都には素敵な風景がたくさんあります。
貴船の川床、嵐山の鵜飼い、鴨川の納涼床、大文字五山送り火、祇園花街の八朔行事。
これらは7月の祇園祭と並んで “和のエンターテイメント” として観光客にも非常に人気があります。

 

8月のおついたちは「八朔」。

 

祇園の花街ではこの日、芸妓、舞妓衆が黒の紋付に身を包み、日々お世話になっている師匠のもとにお礼のご挨拶に訪れます。
「おめでとうさんどす。相変わりませずおたの申します。」
12月の“事始め”と並んで1年の中でも大切な行事です。

 

 

京都の水羊羹

 

さて今月は夏を代表する和菓子、“水羊羹”についてお話しさせていただきます。
現在では全国で様々な水羊羹がつくられており、味、形、色、固さも様々です。
京都の和菓子屋では夏になるとそれぞれが個性的な水羊羹をこしらえます。
とても柔らかく、水の多いのが特徴で、甘さ加減も上品におさえられ絶妙なあんばいに
なっています。
京都では特に竹筒に入ったものが高価ですが、人気があります。
見た目にもとても夏らしく、ほのかに竹の香りが水羊羹に移ってなんともいいお味になっています。
京都の水羊羹の中でも有名なのが、祇園の路地裏の名店 “甘泉堂” です。
知る人ぞ知る名店の水羊羹はお口に入れた途端に溶けてしまうほどの柔らかさで
はんなりとした甘さ加減は、きっと夏の京都の美食として記憶に残ることでしょう。

 

 

水羊羹の起源

 

水羊羹の起源については諸説ございます。

 

ルーツ1 福井の丁稚ようかん
福井県では冬に水羊羹を食べる習慣があります。
福井の冬水羊羹は別名“丁稚ようかん”と呼ばれて、大正、昭和の時代から庶民の和菓子として親しまれてきました。
*京都に奉公に来ている丁稚が福井へ里帰りする際に持たせたものが広まった。
*京都の奉公先の練ようかんを独自に改良して、丁稚ようかんとして作った。

 

ルーツ2 中華料理の羊の羹(あつもの)
中国の料理で羊の肉を煮た後、そのスープが肉の持つゼラチン質により自然と煮凍りの状態になる。
これが鎌倉時代、禅僧によって日本に伝えられたが、禅宗では戒律により肉食が禁じられているため、羊肉の代わりに小豆を用いた。これが現在の日本の水羊羹の原型になったとする説。
いずれにせよ日本における初期の羊羹は、小豆と小麦粉または葛粉と混ぜて作る蒸し羊羹だったと考えられます。

 

 

水羊羹の作り方

 

次に京都の和菓子屋で作られている一般的な水羊羹の作り方を紹介したいと思います。

 

材料 小豆    丹波産の小豆は最高級とされています
氷砂糖   細かく砕いたものが使いやすい
寒天    市販のもの
浄水    京都の名水

 

まず小豆を水でよく洗い、これをたっぷりの名水とともに柔らかくなるまで湯がきます。
柔らかく湯がいた小豆を裏ごしして、こしあんを作ります。
この時小豆色になった茹で汁は捨てずに置いておきます。
この小豆色の茹で汁に分量の氷砂糖を入れてこれを煮溶かします。
さらに寒天を加えて加熱します。
その後、寒天が溶けたら先ほどのこしあんを加えて煮詰めます。
これを流し缶などの容器に流して、冷やし固めます。
固まったら適宜良い大きさに切り分け、夏らしいガラスの器などに盛り付けます。
青もみじを添えて、黒文字をつければ出来上がりです。

 

 

京都店写真

 

 

とてもシンプルな和菓子ですが、シンプルであるがゆえにその中に確かな技や奥深さ、
さらには季節感を感じる逸品です。

 

瓢斗京都店では会席料理などで自家製の水羊羹をお出ししております。
見た目にも夏らしく、爽やかな清涼感あふれる一品です。
はんなりとした上品な甘みとお口に入れると、すっと溶けるような柔らかさに
仕上げております。

 

その他鱧しゃぶなど、この季節ならではのお料理を取り揃えております。
お客様のご来店を従業員一同心よりお待ちしております。

瓢斗 京都店
料理長 山本耕作

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